関西社会学会第57回大会



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1 学会大会のご案内

 関西社会学会第57回大会は、金沢大学で下記のように開催されました。

  1. (1) 大会会場
    金沢大学  〒920-1192  金沢市角間町
  2. (2) 大会日程
    1. 5月27日(土)
      1. 12:30            受付開始
      2. 12:45〜13:45  社会調査士制度に関するフォーラム
      3. 14:00〜16:30  一般研究報告T
      4. 17:00〜         総会
      5. 18:00〜20:00  懇親会
    2. 5月28日(日)
      1. 9:00             受付開始
      2. 9:30〜12:00   一般研究報告U
      3. 13:30〜17:00   シンポジウム
  3. (3) 費用
    1. 大会参加費 2000円(会員・臨時会員、一般・学生とも)
    2. 懇親会費  5000円
  4. (4) 宿泊
    金沢市内に多くの宿泊施設がありますので、恐れ入りますが会員各位でご手配ください。

2 社会調査士制度に関するフォーラム(第2回)のご案内

昨年の第56回大会にあわせて「社会調査士制度に関するフォーラム」をもちましたところ多数の参加があり、多様で活発な情報や意見の交換が行われました。参加頂いた会員からは、社会学教育の各現場での取り組みの実情や考え方を知ることができ、有意義であったという声を寄せて頂いています。しかし、同制度への一定の評価が共有される一方で、いくらかの戸惑いや混乱が残されたという側面も否定できません。こうした現状にかんがみ、社会学教育委員会では、「社会学」「社会調査」「社会調査士」等の望ましいあり方を探るため、今大会におきましても同制度に関するフォーラムを開催することにしました。多数の参加と活発な議論を期待しています。

(社会学教育委員 芦田徹郎)

<発題者>
谷 富夫(大阪市立大学)
黒田 浩一郎(龍谷大学)
野中 亮(大阪樟蔭女子大学)
<司会>
芦田 徹郎(甲南女子大学)

3 シンポジウムについて

第1シンポジウム 世代論から見た日本社会

近代化というメガトレンドは常に転換期をもたらしつつ進行しているが、ポストモダンといわれて久しい現在もまた、新たな社会構想が問われ、新段階を画する社会システムの構築が求められ続けている。産業界では団塊世代一斉退職といういわゆる2007年問題が予測されているが、その問題のみならず、団塊世代については政治面や社会運動面での影響力や、新たなライフスタイル創造の可能性も語られている。そのような団塊世代問題をはじめ、前回シンポジウムで取り上げた若者世代を含む多様な世代にかかわる問題を視野に入れつつ、世代論的分析の有効性や限界について議論を展開したい。

(研究活動委員 鵜飼孝造・宮本孝二)

 <報告者>

佐藤友美子(サントリー次世代研究所)・村上あかね(家計経済研究所)・藤本昌代(同志社大学)・石田佐恵子(大阪市大)

<司会>
  鵜飼孝造(同志社大学)・宮本孝二(桃山学院大学)

第1報告 代研究の展開と課題〜世代間ギャップと次世代研究〜

佐藤友美子(サントリー次世代研究所)

サントリー次世代研究所(前不易流行研究所)は企業の経済活動とは一線を画し、「生活の中の楽しみ」を研究する中で、昭和生まれの人たちの世代間ギャップに着目し、生活環境と価値観の変遷について考えてきました。豊かさを実現する中で得たもの、失ったもの、情報化の進展で表出した新たな課題もあります。解決の糸口をみつけるため、ニートなど問題視されることの多い若い人たちの「働き方」に着目し、インタビュー調査等を実施すると共に、若い人たち自身が自らの仕事に対する思いを語り、創造するというプロジェクトを推進しています。また大人には理解しにくい若い人特有のメディア感覚を知るため、大学生とワークショップ形式で情報について考える機会を持つなど、若い世代の実感を探ることを目指しています。
問題の解決には、上の世代と若い人たちがその違いを理解し、世代を超え、信頼関係を構築することが必要です。“私たちにできることは何か”という問題意識を持ち実施しているプロジェクトを報告いたします。

第2報告 少子高齢社会における生活保障と世代間関係

村上あかね(家計経済研究所)

E・アンデルセンは、ポスト工業社会では、資源配分をめぐる世代間の対立が生じる可能性を指摘したが、この状況は日本においても例外ではない。社会保障制度における給付と負担の世代間アンバランス、つまり世代間公平性の問題は重要な政治的争点である。
 本報告では、世代間公平性問題が生じるような社会的背景について考察したい。世代間公平性への関心の高まりは、生活保障への不安が背景にあると推測されるが、果たしてどうだろうか。まず人びとの生活設計・社会保障制度に対する意識や実態を確認する。さらに、世代間公平性問題における「世代」とは、マクロレベルの世代間関係を指すが、この問題はミクロレベルの世代間関係(親子関係)と切り離して考えることはむずかしい。このことを踏まえ、親子間の支援関係とその変化についてもあわせて示し、少子高齢化社会における世代間関係について論じる。

第3報告 産業・労働問題と世代論

藤本昌代(同志社大学)

本報告は産業・労働問題を世代比較で検討するものであり、時代とともに変化している産業構造と就業人口の関係を世代ごとに傾向分析を行う。たとえば農業従事者の高齢化は顕著であり、鉱工業従事者も製造工などの高齢化は知られるところである。また公務員のように総定員法により世代間で大きく変動しない業種もある。同分野でも時代によって労働市場が開放的であった時代と縮小傾向にある時代では就業者の集中度が異なることから、世代ごとに就業産業の偏りがあるものと時代の影響が比較的小さなものがあるだろう。産業分野の趨勢がそのまま就業者の生活に影響を及ぼすと予測されることから、ある産業への人口の集中がその世代にどのような影響を及ぼしたかを考察したい。そこで本報告では長期的労働調査データをもとに産業分野ごとの就業人口・職種の移り変わりと労働時間・給与の関係性を分析し、世代ごとの労働者の構造変化を示したい。

第4報告 文化研究における世代論の困難と可能性

石田佐恵子(大阪市立大学)

メディア文化が高度に細分化・多様化する現代において、年齢層(世代)ごとに明瞭に区分可能な文化などはたして存在するのだろうか。これまで世代論は社会学のさまざまな領域で論じられてきたが、文化研究の領域においては、ジェンダー、エスニシティ、ジャンル、メディア、トランスナショナルなどの差異とその担い手が強調され、世代文化論はやや忘れられた感がある。若者文化論、対抗文化論など、かつて世代ごとに区分可能な文化が観察可能であったとして、それらはまさしくマス(=大量)文化を形成するメディア商品とその市場が可能にしていた現象に過ぎなかったのではないか。本報告では、文化研究領域における世代論の困難(問題点)を考察し、その上で、時代ごとの共通経験や時間感覚を文化研究に反映させるための方法論的な可能性について、具体的な題材を事例にしながら論ずる。

第2シンポジウム 医療現場におけるコミュニケーションの問題

古くは、ミシュラーやフリードソンの研究によって指摘されていますように、医者と患者のコミュニケーション場面は、医師側の保護・指導やコントロールと、それに対応する患者側の受動性によって特徴づけられてきました。1990年代から、患者の権利を尊重する一連の動きが日本の医療にも導入され、インフォームド・コンセントに始まり、最近のカルテ開示の法制化など、医療場面における患者の位置づけが見直されようとしています。
このシンポジウムでは、医療現場におけるコミュニケーションをテーマとして取り上げ、医師−ナース−コメディカル−患者−家族のあいだの相互行為に着目しながら、患者が従来のような受動的役割にとどまらず、積極的にコミュニケーションに参加できる条件とは何かを、多角的な視点から探求していくつもりです。例えば、患者が主体的にコミュニケーションに参加すると言っても、具体的な医療場面においては、患者の信頼する家族や介助・介護者(ナースやコメディカル)との連携なども、患者の意思を医療者に伝えるのに重要になってくるでしょう。
 その際に、どのようにして自分自身をうまく伝えるのか(セルフ・アドヴォケイト)という問題を、医療現場のさまざまなアクターに着目しながら考察する(第1報告)ことを踏まえて、地域で難病患者を支援する訪問看護師や介護ヘルパーと患者とのあいだに実際に築かれていく関係性について(第2報告)、そして、医師と患者間のコミュニケーションが問題化した「薬害HIV」事件について(第3報告)、具体的なコミュニケーションの細部を分析して提示してもらい、最後にそれを実際の医療現場の経験に照らしてコメントしていただきます。

(研究活動委員 進藤雄三・山田富秋)

<報告者>

高橋涼子(金沢大学)・平英美(滋賀医科大学)・栗岡幹英(奈良女子大学)

<コメンテイター>

森山美知子(広島大学)

<司会>

進藤雄三(大阪市立大学)・山田富秋(松山大学)

第1報告 患者のアドヴォカシーの視点から

高橋涼子(金沢大学)

医療現場のコミュニケーションは多様なアクターから成り立っている。医療者と患者、特に医師と患者の二者とその間に作用する権力の問題は最も大きな課題の一つである。また患者の家族が加わる場合には、その位置や意味の検討が必要となるし、チーム医療においてはコメディカルの役割と分業も検討課題である。さらに現代のアメリカの医療現場では、患者への医療提供を経済効率の観点から厳しくコントロールしようとする保険会社というアクターが加わって、医療現場でのコミュニケーションにおいて患者のアドヴォケイトとは誰か、何が達成されるべきか、という問題は一層、複雑になり、従来の医療者対患者という二項対立の図式では捉えきれない問題が生じているように思われる。本報告では、医療現場における多様なアクターに着目しながら、患者のアドヴォカシーを中心にすえる医療のあり方について検討したい。

第2報告 難病患者の生活世界−病むことの社会性−

平英美(滋賀医科大学)

難病を抱えながら生活している患者と彼らに関わる人たちの世界を、相互行為の観察や当事者の語りを通して、またEMCAやナラティブ・アプローチといった旧来の質的方法を使いながら描くことが今回の報告の目的である。いわゆる「難病」は原因が不明で治療法も確立していない難治性の「特定疾患」として国が認めた121の疾患を指しており、診断を受けた患者は申請をすることによって「難病」患者となっていく。ただし疾患によって症状やそれに伴う生活上の困難のありようは様々であり、一概に比較することはできないが、ここではALSなど症状が進行し重篤化する例を主に取り上げながら他の疾患にも触れていくことにしよう。
 闘病というと社会から離脱して孤立すると想像されがちであるが、かならずしもそうとばかりは言えない。病を得ることによって失う社会生活もあれば、新たに得る人間関係や生活もあるからである。とくに難病患者の場合は、特定疾患に認定されることを契機に公的援助の手が差し伸べられ、それを受け入れる人も多い。具体的には、地域の保健師やケアマネ、訪問看護師や介護ヘルパーなどの職種の人がかなり頻回に患者宅を訪れて療養や生活を援助することになる。本報告の狙いも、患者とこのような人たちとの関わりがどのようにして築かれていくのか、それが患者やその家族の生活にどのような影響を及ぼしていくのか、さらに患者の病いに対する考えをどのように変えていくのか、一方、援助する人たちの側ではそれをどのように考えているのかを、明らかにすることにおかれている。

第3報告 薬害における医師―患者間のコミュニケーションから

栗岡幹英(奈良女子大学)

「薬害HIV」事件については、主要な問題点の一つとして医療現場における「インフォームド・コンセント」の欠如が指摘されている。この問題設定は、それが「薬害」の発生に主要な要因として働いた、との推論を含んでいる。そこではいわば「実在的な」因果連鎖が想定される。他方、構築主義からみれば、「薬害」はもちろん相互行為を通して社会問題として構築されている。想定されるのは連続する相互行為である。「感染」の実在的因果連鎖を相互行為のあり方の中に問う前者の問題意識と、感染や「被害」を「薬害」として構築する相互行為のあり方を解明的に記述しようとする後者の問題意識には、方法論的溝がありそうだ。私の参加する調査グループは後者の立場からHIV感染問題の調査を行ってきたが、原告・被害者や医師など、この事件の関係者からはわかりにくさを指摘され続けている。私たちが理解する限りでの「実態」を報告しつつ、「薬害の構築」が日常的な医師−患者コミュニケーションの現場で行われている可能性を考えてみたい。


4  一般研究報告について

報告時間は25分、質疑応答は5分です。報告をご希望の方は(1)一般報告申込用紙(2)報告要旨 の2点を揃えて3月27日(月)必着で事務局までお送りください。一般報告申込用紙はこれまで、学会ニュースと共にお送りいたしておりましたが、2006年2月発行分からはお送りいたしておりません。一般報告申込用紙は、基本的に学会ホームページからダウンロードしていただくようお願い申し上げます。ダウンロードが難しい場合には、事務局までその旨ご連絡頂きましたら、郵送にてお送りいたします。研究活動委員会では、学会ホームページからダウンロードした申込用紙・報告要旨テンプレートを使用した電子メールによる申込みを推奨します。ひとつの電子メールに一般報告申込用紙と報告要旨の2点のファイルを添付してお申し込み下さい。一般報告申込の際の電子メールのタイトルは必ず「第57回大会一般報告申込 ○○○○(○の部分に氏名を記入)」として下さい。迷惑メールとの判別をしやすくするためにも必ず、このタイトルでお願いいたします。電子メールにてお申し込みいただいた場合には、報告受付のお知らせ及び、一般報告プログラムの速報版を電子メールにてお送りいたします。郵送・電子メールともに、申込用紙・報告要旨のいずれか1点のみのお申し込みは無効になりますのでご注意ください。学会事務局のメールアドレスは本サイト内の「事務局から」のページに記載されています。
また、報告をされる方は、(3)にあります「報告者への注意事項」をよく読み、滞りなく発表できるよう、準備を整えてください。

  
1.一般研究報告申込用紙
2.報告要旨

(1) 一般研究報告申込用紙について

本ホームページから「一般研究報告申込用紙」のファイル[MS WORD形式]をダウンロードしてご使用ください。サブタイトル・共同報告者・情報機器など、申し込み後の変更はできませんのでご注意ください。
 なお、申し込みの際、希望する部会を下記の分野リストから選んで3つまでご記入願います(これらの分野名はあくまで部会編成の作業を効率化するための目安であり、最終的な部会名は報告内容に合わせて適宜工夫させていただきます)。

【一般研究報告分野リスト】

1 理論・学説 2 社会調査法・社会学研究法
3 階級・階層・社会移動 4 家族・人口
5 農山漁村・地域社会 6 都市
7 政治 8 組織・社会運動・集合行動
9 経済・経営・産業・労働 10 教育
11 文化・知識・科学 12 宗教
13 社会心理・社会意識 14 コミュニケーション・情報
15 社会病理・社会問題 16 社会福祉・医療
17 エスニシティ 18 ジェンダー
19 社会史・歴史社会学 20 比較社会学・地域研究・国際関係
21 環境 22 その他


 研究報告のプログラムは4月開催の理事会にて決定されます。原則として、メールでお申し込みいただいた場合を除いては、事務局より各報告者にご返事は差し上げませんが、ご了承ください。

一般研究報告申込用紙 (←ここからダウンロードしてください)

一般研究報告申込用紙はこちらからダウンロードしてください。なお、事務局ニュースでお知らせしました通り、電子メールの添付ファイルによる報告申し込みは、このホームページよりダウンロードした「一般研究報告申込用紙」・「報告要旨テンプレート」をともに使用された場合にかぎりますので、ご注意ください。

(2) 報告要旨について

 下記の様式にもとづき作成してください。用紙サイズ・書式を設定済みの「報告要旨テンプレート」のファイル[MS WORD形式]をこのホームページ(下記)からダウンロードしてご使用いただけます。

  • ・B5版横書き1枚でお願いします。
  • ・提出された原稿をそのまま印刷しますので、パソコン/ワープロによる原稿を歓迎します。
  • ・本文は1200字以内にしてください。
  • ・上下左右の余白を2cm程度あけてください。
  • ・原稿の冒頭3cm程度を用い、下記の例のように報告題目・所属(大学または機関名のみ)・氏名を記入してください。
  • ・フォントは可能なかぎり次の通りにしてください。
  報告題目・サブタイトル: 14ポイントのゴシック体
  所属・氏名: 10.5ポイントのゴシック体
  本文: 10.5ポイントの明朝体

報告題目

──サブタイトル──
△△大学 □□□□(氏名)


 …………………………………………………(本文)……………………………………………………

……………………………………………………………………………………………………………………

報告要旨テンプレート(←ここからダウンロードしてください)

報告要旨テンプレートはこちらからダウンロードしてください。用紙サイズ・余白・書式は設定してありますので、文字だけ入れ換えてご使用ください。サブタイトルが不要の場合は削除してください。記入上の注意事項は事務局ニュースをご覧ください。なお、事務局ニュースでお知らせしました通り、電子メールの添付ファイルによる報告申し込みは、このホームページよりダウンロードした「一般研究報告申込用紙」・「報告要旨テンプレート」をともに使用された場合にかぎりますので、ご注意ください。



(3)報告者への注意事項    <<報告者の方は必ずお読み下さい>>