今回は日曜日の午後に開催校シンポジウム「今、社会学教育に何が必要か」を企画しています。
近年、日本の学部の社会学教育では、単なる調査対象としてではない形で、社会と繋がりつつ社会学する実践、すなわち、市民活動や行政や企業とコラボしながら社会学教育する実践が拡がっている。この路線の背景には、本年11月に京都産業大学で開催された「日本社会学会100 周年記念講演会(ISA 会長のプレイヤー氏と東京大学名誉教授の上野千鶴子氏によるもの)でも示唆されたような20世紀社会学の歴史、すなわち、社会学のフロンティアがほぼつねに社会学化されていない市民社会の諸実践に対して社会学者が随伴者になることで切り拓かれて来たという成功史があるように思われる。だが、そのような20 世紀の成功体験があるからといって、現在の諸アクターとのコラボ路線が成功するとは限らないようにも思われる。そこで、まずは2 つの大学における社会学教育の今を丁寧に検討しながら、社会学と社会学教育の両方の未来展望を同時並行的に考えて行きたい、というのが、本シンポジウムの趣旨である。
具体的には、日本の学部教育での社会学教育の現在の課題と展望を探るために、「今、社会学教育に何が必要か」と題して、まずは、上野山氏(摂南大学)と岡崎氏(神戸学院大学)の両氏に、それぞれの本務校でのコラボ的な教育実践の実際を、具体性ある形でご呈示いただこう。
ついで、3人のコメンテーター(それぞれ、世代と専門のことなる3名である工藤氏、加戸氏、江口氏)から、両者の発表に関するコメントを述べて頂き、多角的に議論のフィールドを開いて行きたい。さらに、フロアからの発言を交えて、諸大学での実践の多様性も踏まえた議論を、関西社会学会のレガシーとなる水準にまで深めて行きたい。質疑応答時間を十分取る意図で、演題呈示者は2名に絞っているので、ぜひともフロアからも積極的な発言をお願いしたい。
報告者・タイトル(案):
上野山裕士(摂南大学) フィールド型アクティブラーニング(FAL)の実践から
岡崎宏樹(神戸学院大学)社会学の現在と社会学教育の現在-神戸学院大学での教育実践から
コメンテーター:工藤 保則(龍谷大学)、加戸友佳子(摂南大学)、江口 怜(摂南大学)
司会:好井裕明(摂南大学)、樫田美雄(摂南大学)
(大会実行委員会 山本圭三・好井裕明)
開催校企画展示:「万博とナショナリズム」
大会期間中、「万国博覧会が開催されることが、人びとにおけるナショナリズム的感覚に対していかに影響し得たか」という点を、様々な側面から検討できるような資料を展示することを考えています。具体的には明治期以降に開催された万博関連のポスターや配布チラシ、広告などなどを展示する予定です。
(大会実行委員会 山本圭三・好井裕明)