2024年度関西社会学会大会若手企画「「状況の社会学」の可能性を探求する」について

研究活動委員会より、2024年度第75回大会若手企画部会について、お知らせいたします。大会までに関連シンポジウムを複数回開催する予定です。何卒よろしくお願いいたします。

+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

2024年度(第75回)大会若手企画

 

テーマ

「状況の社会学」の可能性を探求する――ゴフマン社会学とエスノメソドロジーの結節点に注目して

概要

社会学において「相互行為」という研究領域は、ゲオルグ・ジンメルによって開拓され、アーヴィング・ゴフマンによって確立されたといえるだろう。ゴフマン以降、相互行為の研究は、エスノメソドロジーや会話分析などの領域で精緻な経験的研究として発展したが、両者のつながりに関しては、どちらも相互行為を探究の対象としている以外には、あまり目を向けられてこなかった。しかしながら、近年の研究では、ゴフマンとハロルド・ガーフィンケルやハーヴェイ・サックスといったエスノメソドロジーの大家たちとの知的交流の軌跡がアーカイブの分析から明らかにされ、ゴフマン社会学とエスノメソドロジーの関係性に注目が集まっている。同時代、同じ米国で生まれたゴフマン社会学とエスノメソドロジーは互いに影響を与え合いながら、相互行為という研究領域を形作っていった。こうした点を踏まえて、アン・ロールズはゴフマン社会学とエスノメソドロジーそれぞれ独立して捉えるのではなく、包括的に「状況の社会学(sociology of situations)」として捉え直し、位置づけ直さなければならないと言う(Anne Warfield Rawls, 2003, “Orders of Interaction and Intelligibility: Intersections between Goffman and Garfinkel by Way of Durkheim,” A. Javier Trevino ed., Goffman’s Legacy, Lanham: Rowman & Littlefield Publishers, 216-53.)。

本部会では、この「状況の社会学」をキーワードとして、ゴフマン社会学とエスノメソドロジーの関係性を改めて問い直し、相互行為を研究対象とする社会学の方法論的意義や課題について、理論・学説・経験研究への応用など、様々な視点から考察することを目的としている。相互行為の社会学的研究には、しばしばミクロな現象を取り扱うことに終始し、社会構造を考察することができていないという「誤解」がつきまとう。こうした困難を乗り越えて、相互行為から社会を考察するための視点として、「状況の社会学」はどれほど有益なものなのか。また、「状況の社会学」をするためには、どのような方法論的課題を克服せねばならないのか。これらの点について、ゴフマン社会学の研究者、エスノメソドロジーの研究者の両面から報告を行い、検討を行う。

企画者・報告者:若狹優(神戸大学)

報告者:木村雅史(作新学院大学)、粕谷圭佑(奈良教育大学)、成田まお(神戸大学大学院)

+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++