2020年度第71回大会招待講演&トークセッションについて「コロナ時代の日本を考える」

テーマ「コロナ時代の日本を考える」

趣旨

デュルケームが社会学を新たな学問分野として確立しようとしたとき,隣接分野との対話はきわめて重要な意義を持っていました。みずからが編集長となって,学派のメンバーと刊行した「社会学年報」には夥しい数の書評が掲載されていますが,ここに取り上げられているのは,宗教学,人類学,歴史学,心理学など,社会学以外の著作が圧倒的に多いことは注目に値します。デュルケーム学派は,隣接する学問の最新の成果を取り入れつつ,これらを批判的に読解し,社会学とそれ以外の学問の差異を際立たせることで,社会学のディシプリンの固有性を示そうとしたのでしょう。

翻って,現代の社会学は,他の学知と対話するよりも,社会学の内側で専門的な議論を続けることに熱心であるようにみえます。けれども,社会学とは何か,社会学だからできることは何なのかが改めて問われるいま,隣接分野との対話を再び活性化させる必要があるのではないでしょうか。こうした問題関心から,2020年度大会では「招待講演&トークセッション」を開催することにしました。

今回は,思想家の内田樹さんをゲストに招き,伊藤公雄さん(京都産業大学,常任理事)とのトークセッションを展開します。司会は伊地知紀子さん(大阪市立大学,研活理事)です。

内田樹さんは,100冊を超える著書(共著含む)を発表し,レヴィナスを中心とした現代思想研究,身体論,武道論,日本文化論,メディア論,教育論,天皇論など多岐にわたる主題を独自の視点で考察しています。

講演では,内田さんの眼からコロナ時代の日本社会はどうみえるのかをお聞きしたいと思います。今期の研究活動委員会のコンセプトは〈社会学のルーツと境界を探り,アクチュアリティを問う〉。このテーマをめぐっても議論が展開することと思います。

日時

  • 10月10日(土曜日)17時15分~19時15分
    *今回の講演はZoomウェビナーで開催される予定です。

講演者

  • 内田樹(神戸女学院大学名誉教授,京都精華大学客員教授,凱風館館長)

対話者

  • 伊藤公雄(京都産業大学)

司会

  • 伊地知紀子(大阪市立大学)

(研究活動委員長 岡崎宏樹)