研究活動委員会だより(2013年度)

今期の研究活動委員会は,理事会からの委嘱理事2名を含む8名で活動しています。会員の選挙で選出された理事だけでは年齢や性別に偏りが生じるので,委嘱理事をお願いする際にはこの点に配慮しました。しかし,平均年齢が高いこと,かつ女性研究者が赤枝香奈子氏(大谷大学)のお一人であることは,大きなハンディだと考えています。

前期のこの委員会が立ち上がった時には,神原文子委員長(神戸学院大)が任期中の全体テーマを「社会学に何ができるか」と定めた旨の,格調高い決意をこの学会ニュースで披露されました。今期の委員会では,研活委員会の役割が学会内での研究と交流を活発にすることだという合意から出発しています。この観点から,広く会員の関心に応えるシンポジウムを開催すること,若手企画に十分な支援を行うことを課題と定めました。それによって,会員に積極的に学会に参加していただければと願っています。以下,富山大会での企画について簡単に触れますが,まだ途上の案だとお考えいただければ幸いです。

社会学研究者の多くは,この国の最近の社会的・政治的変動に無関心ではいないでしょう。次回の富山大会では,最近の日本に顕著な排他的なナショナリズムの高揚と政権交代が実現した政治状況に焦点を合わせたシンポジウムを,若手の会員に協力を仰いで企画しています。多くの方に富山大学に足を運んでいただけるような内容にしようと,佐藤哲彦理事(関西学院大)を中心に考えているところです。なお,富山大学でのシンポジウムはこの1件になる予定です。

若手企画は,雪村まゆみ氏(関西学院大)が「文化と労働」という刺激的なタイトルで企画してくださっています。文化を生産する芸術家の活動は,他面では労働という側面があります。日本が世界に発信するアニメが長時間・低賃金の労働によって支えられているのは,周知の通りです。また,かつては労働の場であった炭鉱や鉱山跡が文化的遺産となっています。文化的達成と労働の間にはなにか考察に足りる重要な関係が見いだせるのではないかとの着眼は新鮮です。早川洋行理事(滋賀大)が実務的な支援に携わってくださっています。

大会の分科会構成も研究活動委員会の任務です。来年の3月には,司会や会場の手配に本委員会,とくに事務局的役割をお引き受けいただいた佐藤理事と川端浩平理事(関西学院大)や会場校富山大が悲鳴を挙げるほどの発表申し込みが寄せられることを期待しています。

当然ながら,社会学研究は直接の共同研究でなくても,協働の営みです。研活委員会は,若手会員の研究交流活動を実質的にも支援したいと考えています。雪村氏に続く斬新な企画を,アイデアの段階でもかまいませんから本委員会あるいは個別の委員にお寄せください。

研活委員会の力になるのは,何よりも会員各位の研究の進展と交流への意欲です。大会の分科会やシンポジウムに関するご意見や要望をお待ちしています。

(研究活動委員長 栗岡幹英)